2020年05月22日

積層材

前回の記事に続き、材料ネタで。

「積層材」

今の日本国内では、主に家具やサーフボードなどが多いですかね。

あまり接着後に加工する事がないものが多い・・・気がする。

この材料は無駄が少なく強度があり曲げ加工も出来る。

と言う大きな利点はあるが・・・・・高い!重い!硬い!

と、木工屋としては加工するのが嫌な材料の一つ。

ですが、G43とFG42-Ⅱの実銃もこの材料なので、この材料で頼まれてます。

木目とは違う、形状の変化で見られる独特の模様が面白い。

地図に見られる等高線の模様と同じかな。

なので実銃の資料を見ながらでも、高低差で銃床の形状変化がおおよそわかる。

個体差は多少出るが、出来るだけ同じような模様になるようにと製作する。

と言っても、実際に提供してもらう実銃も個体差があり結構バラバラ。

数か所の工場で製造してたようなので無理もない。

「何故ドイツ軍は、戦時中に人手もかなり必要なのにこんな材料を使ったんだ?」

と、随分前に少し調べた。

結局、銃床を作るためのクルミ材がなかったんですね。

なるほど納得。

と同時に、ドイツで当時この材料を作れたのが凄いなと思いました。

まず、発想力が素晴らしい。

材料を僅か1.5~2ミリの厚さにスライスし、

一枚一枚接着剤をつけてプレスして銃床を作れる厚みまで積層させる。

これは、当時の日本には無い技術だったと思う。

ドイツでも豊富にあったブナ材の無垢材では駄目だったのか。

「ストックの材料」の記事で書いたが、ブナ材は衝撃を受ける銃床用には向かない。

そのブナ材にひと手間!?

ひと手間どころではないのだが、見事に銃床に使える材料にしたんですね。

「使えないものを使えるようにする」

ここが凄い。

「なんとかしろ!」って命令だったと思うが。

構造開発をする技術者たちも必死だっただろう・・・

日本も同様だっただろうが、今なら完全にパワハラで訴えられるだろう。

莫大な費用もかけたんだろうな~国費で。

戦後に、その技術と設備を日本でも取り入れたのでしょう。

現在でも、国内で製造している会社は数社ありますが、

弊社でブナの積層材を調達できる取引先は1社になってしまいました。

以前はもう少しあったのですが、辞めてしまいました。

どんどん国内の産業が消えてます。

大量に発注できれば、もっと頼めるところもあるのでしょうが・・・なかなか・・・

銃床用として頼む場合は、細かい要望をするので嫌がられますし。

他の銃床にこの材料を使用して作っているものは・・・今のところはない。

でも・・・世界的な名銃が他にもあるな・・・

出来ればこの材料で頼まれたくない・・・が本音。(^-^;

話を戻して、

98Kも初期の銃床にはクルミ材が使われていたが、途中から積層材に変更されている。

床尾板もカップ型に変更された理由も流石。

材料が安定供給できたから?って事はないだろうけど、

生産数も桁違いの銃ですね~98kは。

そんな中、製造されたG43もやはり積層材。

もし、当時のドイツにクルミ材が豊富にあったら・・・・・

って事で作ってみたドイツ軍のクルミ材の銃床。

クルミ銃床  
タグ :積層材G4398k

Posted by if-Product at 07:05Comments(0)材料・工具・その他
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